キーワード:2024年問題/超高齢社会/労働環境改善
プロジェクトの概要
物流需要が高まる一方、慢性的な人手不足や作業員にかかる高い労働負荷は深刻な社会課題となっています。さらに、トラックドライバーに対する時間外労働規制によって物流の停滞が懸念される「2024年問題」も持ち上がり、業界全体で作業効率や労働環境の改善、人手不足への対応が求められています。
工場や倉庫における屋内物流は自動化が進みつつありますが、低温の冷凍倉庫内は人による作業が中心です。その要となる有人フォークリフト作業は熟練オペレーターのスキルに頼る部分が多く、急速に高まる物流需要に対して慢性的な人手不足が続いています。
これらの課題を解決すべく、三菱ロジスネクスト株式会社では、冷凍倉庫における業務革新に取り組む株式会社ニチレイロジグループ本社と共同で冷凍倉庫に対応する無人フォークリフトの開発プロジェクトを開始。冷蔵・冷凍倉庫の需要としてもっとも多い冷凍食品の保存に必要な「マイナス25℃」まで対応でき、かつ、床面工事が不要、レイアウト変更が容易でフレキシブルな運行が可能なレーザー誘導方式無人フォークリフトの製品化をめざしました。約1年2カ月の開発期間を経て、2022年6月に冷凍冷蔵倉庫型レーザー誘導方式無人フォークリフト「PLATTER Auto(プラッターオート)」が完成しました。
冷凍冷蔵倉庫型レーザー誘導方式無人フォークリフトとは
三菱ロジスネクスト株式会社は、1971年に世界初の無人フォークリフト(AGF)を開発して以来、AGFのパイオニアとしてつねに最先端のテクノロジーで無人化ニーズに応えてきました。冷凍冷蔵倉庫型レーザー誘導方式無人フォークリフト「PLATTER Auto(プラッターオート)」は、磁気誘導方式のような床面工事を必要とせず、無人化のために倉庫の稼働を止める必要がありません。レイアウトを変更する場合もパソコン上でラインを引き直し、それに沿って機器を設置すれば済むため導線変更が容易です。また、運行管理端末に稼働指示を登録しておくことで、AGFが自動的に最適ルートを選択します。限られた空間を最大限に活かして、AGFを複数台同時に稼働させることも可能です。これにより、作業員の技術レベルに左右されることなく、有人フォークリフトと同等の収納効率が維持できます。
稼働を止めずに既存倉庫内のフォークリフト作業を自動化することで、効率を低下させることなく作業員を過酷な寒冷作業から解放し、人手不足の解消にも貢献します。
日本輸送機、三菱重工フォークリフト部門、TCM、日産フォークリフトの4社を前身とする物流機器メーカーが統合し、2017年に三菱ロジスネクストとして発足。「物流の安全、自動化、脱炭素化」をパーパスに掲げ、バッテリー/エンジンフォークリフトから自動倉庫、稼働管理システムまで、輸送・保管・管理に関わるさまざまな商品の開発・設計・製造・販売を行う。2035年長期ビジョンでは、脱炭素化、安心・安全な車両の提供に加え、「自動化・自律化」と「繋ぐ」ニーズに応える機器の提供、ならびにそれらを安心・安全に動かすためのソリューションの提供を目指している。