Perspectives

「ビジネスのちから」で環境・社会課題を解決する
“新しい視点”を。

アサヒグループ食品株式会社 

母子保健改善プロジェクトを推進し、ベトナムでプレゼンスを拡大する

キーワード:母子健康改善/ベトナム/JICA

社会課題解決への貢献を通して事業を拡大する――
この戦略のなかで開始したベトナムでの母子保健改善プロジェクト

 「おいしさ+αを追求し、『心とからだの健やかさ』の実現に貢献する」という長期ビジョンを掲げるアサヒグループ食品。現在、このビジョンからバックキャスティングした長期戦略の一環として、「ベトナム母子保健改善プロジェクト」を推進しています。

 著しい経済成長を遂げるベトナムでは、従来課題視されていた子どもたちの栄養不良や死亡率は改善しつつありますが、生活水準の向上にともなって都市部を中心に過体重や肥満になる子どもが増加しています。こうしたなか、同社は単に高品質なベビーフードを販売するというだけではなく、ベトナムの社会課題解決と販路拡大のカギは養育者の意識改革であるという点に目を向け、現地の専門家や行政と協働で母子の健康づくりに役立つ「離乳食ガイド」の作成に取り組んでいます。

JICAのビジネス化実証事業に採択
志を共有する日本-ベトナムの産官学が一体となったプロジェクトに

 ベビーフード事業に長年携わり、海外でのマーケティング経験もある石井克明さん(「すべてはパーパスが起点。離乳食ガイドと商品の展開でベトナムの課題解決に貢献」参照)の発案で始まった本プロジェクトは、2030年に向けた長期戦略のもとに設置された「長期戦略推進室」のバックアップを受け、2023年7月には開発途上国の課題解決やSDGs達成に貢献する民間企業の支援を目的としたJICAの「中小企業・SDGsビジネス支援事業のビジネス化実証事業」に採択されました。子どもたちの健康課題に対処するには、「子どもに何をどれだけ食べさせるか」だけでなく、「どのように調理して、どうやって食べさせるか」といった養育者への教育や支援が重要であり、養育者が子どもに適切な離乳食を与えるための実践ガイドが必要であることがわかりました。

 日本には、摂食機能の発達や自立、食習慣の形成、さらには子育て支援の視点も重視してつくられた「離乳食ガイド」があり、同社もこのガイドラインに沿って、子どもの成長段階に合わせた商品を開発しています。石井さんは、この日本のガイドをモデルケースとして、ベトナムの小児科や栄養学に関する学会、小児病院などでのPR活動を展開するとともに、同国の専門家を日本に招き、ガイドの活用状況を視察していただく勉強会も実施。以前から共通の課題認識を持っていた医師や栄養士の協力もあり、2023年9月に同国小児科学会の会長から日本と一緒にベトナムのガイドをつくるという宣言が発表されました。

医師や栄養士によるベビーフードの試食


 その後、同社は2024年4月19日から、ベトナムのハノイとホーチミンで日本のベビーフードのテスト販売を開始しています。テスト販売を通じた、日本のベビーフードの同国における受容性や有用性、改善点についての実証調査が目的です。将来的には、離乳食ガイドの普及とともに、ベトナムで最適なベビーフード製品をベトナム国立栄養研究所と共同開発するなど、さらに実証事業を展開していく計画です。

アサヒグループ食品株式会社

アサヒグループホールディングス傘下、日本事業を統括するアサヒグループジャパンのグループ会社。2016年にフリーズドライ食品を扱う天野実業、粉ミルクやベビーフードを扱う和光堂、健康食品などを扱うアサヒフードアンドヘルスケアを統合。乳幼児から高齢者まで、幅広い世代に「心とからだの健やかさ」をトータルに提案できる強みを活かし、食にかかわる社会課題解決を通じた企業成長をめざしている。

https://www.asahi-gf.co.jp/

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