キーワード:森林資源の循環/林業の持続可能性
プロジェクトの概要
日本では森林資源の循環利用が十分に進んでおらず、森林の荒廃・劣化やCO2吸収能力の低下などのさまざまな問題が生じています。針葉樹は戦後植林された木が伐採適齢期を迎えていますが、建材需要の変化により価格が下落し、林業者にとっては伐採・運搬・製材コストとの採算が合わない状況が生じています。広葉樹については、一つの山に多様な樹種が混在するため、家具メーカーなどが求める特定の樹種以外のものや、一定の品質に満たないものはチップ化されるか廃棄されることが多く、資源として十分に活用されていない現状があります。
そんな中、創業当初から木材を余すところなく活用する工夫を行ってきたカリモク家具は、これまで家具などの製品に使いづらいとされていた木材の活用を促進するブランドを2009年以降、積極的に展開してきました。また、森林の健全な更新のため、山から出材する木材を適正な価格で調達し、家具以外の用途でも活用する取り組みを推進しています。さらに、建材には不向きな針葉樹の地面から約2m部分や枝節の部分も購入し、家具材料として活用することで、森林資源の循環サイクルを支え、林業の持続可能性向上に寄与しています。
国産未利用材を活用したブランド「Karimoku New Standard(カリモクニュースタンダード)」
「Karimoku New Standard」は、未利用材を活用するノウハウを培ってきたカリモク家具と国内外のデザイナーが手を組み、日本の家具デザインの新たなスタンダードをめざして立ち上げられたブランドです。使用している木材は主に北日本を原産地とする広葉樹(カエデ、クリ、ナラなど)で、里山の維持管理のために伐採される小径の木材など、短く幅の狭い木材や、単体では強度の弱い木材も巧みに活用しています。
遊び心がありながら機能性も十分に備えたデザインを採用しています。部屋のアクセントとなるようなカラーやグラフィックを積極的に使用し、手元にある家具にプラスすることで暮らしに変化をもたらすようなスツール、小物などのスモールアイテムも展開しています。
2025年には、大阪・関西万博のスイスパビリオンにローザンヌ芸術デザイン大学(ECAL)とコラボレーションした「HUG Chair」を製作しました。
「Karimoku New Standard」ブランドページ
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美しいカラーリングの小物類が充実
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座る人を包み込むようなフォルムが特徴的な「HUG Chair」
国産針葉樹を中心としたさまざまな木材からつくる現代の日本の家具「MAS(マス)」
MASというブランド名には、日本で親しまれる酒器や秤としての「枡」と、国産材を使うハードルを超え、量産(マスプロダクション)を実現するという思いが込められています。デザインディレクターに熊野亘氏を迎え、日本の森林や木工家具に関する課題を話し合う中で、強度面から通常は家具に向かないとされる針葉樹、中でも代表的なヒノキに着目しました。カリモク家具の技術により、白木の美しい木肌や温かみのある手触り、心を和らげる豊かな香りを活かした家具へと昇華しています。
無駄を削ぎ落としたシンプルな構造で、素材そのものの表情を活かすデザインを採用。控えめながら機能性と包容力を兼ね備えた佇まいは、2021年のブランド設立以来、住宅だけでなく公共施設や大学、店舗などで多く採用されています。
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カリモク家具の起源は、創業者の加藤正平が長年続く材木屋を引き継ぎ、愛知県刈谷市で小さな木工所を始めた1940年に遡る。さまざまな木製品を生産することで技術を磨き、1960年代に入ると、自社製の木製家具の販売を開始。高度な機械の技術と職人の技を融合させる「ハイテク&ハイタッチ」という製造コンセプトを掲げて木材生産分野における土台を作りあげ、日本を代表する木製家具メーカーへと成長を遂げる。



