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国際大学の留学生×外国籍ビジネスパーソンが、日本企業の魅力と課題について語る特別トークセッションを公開

Perspectivesでは、2024年2月、外国人留学生が9割を占める国際大学(新潟県南魚沼市)の留学生2名と、日本で働く外国籍社員2名による特別トークセッション「留学生・外国籍社員から見た日本企業の魅力と課題」を開催しました。そして今般、その内容をまとめた動画を公開しました。本メディアはこれまで、事業を通じて社会課題を解決する日本企業のプロジェクトを、そのキーパーソンの志や意欲、情熱などとあわせて紹介してきましたが、とりわけ反響が大きかったのが外国籍社員の方々の記事です。そこで、日本で就職をめざす留学生の方々も交えて、「彼らが日本企業を選ぶ理由」「日本企業が果たす役割と課題」などについて語っていただき、少子高齢化に直面する日本企業の可能性を考える一助になればと企画しました。

長谷川 直哉氏

登壇者

国際大学 国際経営学研究科 MBAプログラム専攻

Abdulazeez Idiaro

ナイジェリア出身。銀行、IT関連、貿易・運輸等での勤務経験あり。日本とナイジェリア、世界的な国際ビジネス関係の継続的な醸成に関心があり、国際大学では「国際的な事業展開における、組織が直面する障壁について」を研究テーマに取り組んでいる。

黄健さん

登壇者

国際大学 国際経営学研究科 国際開発学プログラム専攻

Shikha Chandrawat

インド出身。アジア開発銀行研究所のインターンシップに参加。自分の仕事上の目標を追求できるだけでなく、独特で豊かな文化体験に身を置くことができると考え、日本企業での就職活動を希望している。研究テーマは「持続可能なグローバリゼーションに向けたグリーン戦略」。

国際大学についてはこちら

登壇者

株式会社IHI 技術開発本部 技術企画部 SAF企画グループ

黄 健

中国出身。2009年にIHIに入社。入社後5年ほどは、石炭火力発電所から排出されるCO2の回収プロセスにおける技術開発等に従事。その後、技術開発以外の分野にも携わりたいという想いから、シンガポールのグループ会社に異動し、顧客と直接対話しながらIHIの技術を使ったソリューション提案を3年半ほど担当。その経験を活かし、日本帰任後はオープンイノベーションの取り組みを行う、 連携ラボグループに所属。現在は、連携ラボグループを兼務しながら、CO2を活用したSAFの合成技術の商用化を目指し活動中。

株式会社IHI 黄 健氏を取り上げた記事はこちら

登壇者

コンサルティング・ファーム勤務

Sandeep Yella

インド出身。デリー工科大学技術で学士を取得。日本の自動車会社のR&D職を経て、スペインのIESE Business SchoolでMBAを取得。その後、コンサルティング・ファームに就職し、東京オフィスおよびソウルオフィスでの勤務を経験。今は、コンサルタントとして日本の自動車企業の海外市場への展開戦略のデザインや運用効率の実現を支援している。

IESEビジネススクールについて取り上げた記事はこちら

動画

【前半】開催趣旨・登壇者による自己紹介

(全15分/全編英語・日本語字幕付き)

00:00  前半オープニング
00:43  本日の登壇者紹介
01:14  開催趣旨・狙い
03:19  国際大学について
06:23  国際大学・Abdulazeez Idiaroさん自己紹介
08:30  国際大学・Shikha Chandrawatさん自己紹介
10:15  株式会社IHI 黄 健さん自己紹介
12:42  コンサルティング・ファーム勤務 Sandeep Yellaさん自己紹介


【後半】ディスカッション本編

(全30分/全編英語・日本語字幕付き)

00:00  後半オープニング
00:25  テーマ1. 日本での仕事を通じたやりがいは? 
07:05  テーマ2. 日本企業に感じる将来性は? 
20:09  テーマ3. 今後日本企業が成長していくために改善すべき点は?

対象(こんな方はぜひご覧ください)

  • 日本で就職を希望する留学生、海外在住者
  • 国際人材を採用したい日本企業のご担当者
  • その他、日本企業の可能性や対話を通じた相互理解に関心のあるすべての皆さま

ディスカッションサマリー

テーマ1. 日本での仕事を通じたやりがいは?

 黄さん、Shikhaさんから、「日本企業の社員は社会的な責任に自覚的。仕事に喜びや目的を見出すことが重視され、やりがいを感じることでモチベーションを高めている」「さまざまな仕事を通じて社会課題解決に貢献している」というご発言がありました。また、技術者の視点で、黄さんより「技術開発においても、他国に比べて社会貢献を重視している」というコメントもありました。

 Sandeepさんからは、「顧客を優先し、安全性や研究開発・品質も重視している。従業員への配慮もあるので、それらのコストについて、海外の競合に勝つために最適なバランスを見つける必要がある」というご指摘がありました。

 また、Abdulazeezさんからは、「皆が勝者となる社会を目指しており、チームワーク重視で意思決定が穏やか。全員がプロセスを理解し取り残されることがなかった」というコメントをいただきました。学生の視点から、「インターンシップの機会が提供されており、実践的な経験を通じて理解を深められる」というお話もありました。


テーマ2. 日本企業に感じる成長性について

 Shikhaさんより、自動車や電子機器など信頼性の高い製品やロボット工学などの先進性により、グローバルな機会創出の可能性が指摘されました。また、環境分野での活躍についても言及がありました。

 Abdulazeezさんからは「外国人との協力やパートナーシップを強化すれば、さらに競争力を高め、持続可能な成長を実現できるのでは」「日本企業が海外企業とのコラボレーションを促進するプラットフォームがあれば」というお話がありました。

 Sandeepさんからは、環境配慮や高齢者のケアなど、日本が新しいトレンドを生み出す可能性が指摘されました。高齢者向けの製品やサービス開発や、高齢者をテクノロジーと組み合わせて労働力として活用するなど、これらの取り組みが成功すれば、日本企業は将来的にグローバル市場で競争力を持ち、再びイノベーションをリードする可能性があると述べられています。

 黄さんからも、IHIは日本の重工業企業として、国内の活動に留まらず、インドや他の東南アジア諸国、中国とも協力しようとしており、地球規模のグローバルな問題を先進的な技術の導入やフィードバックを通じて解決しようとしている、というお話がありました。


テーマ3. 今後日本企業が成長していくために改善すべき点は?

 まず、皆さん口を揃えて日本語という言語の壁について言及されていました。

 大学で地元企業の社員を対象とした英語講座で交流があるというShikhaさんは、日本企業が英語を学ぶ機会を提供すべきという主張に加えて、ダイバーシティ&インクルージョン、DXの面での課題を指摘されました。

 Sandeepさんからは、デジタル化や技術活用について、とくに医療の分野などで企業と政府がもっと協力する必要があるのでは、という指摘がありました。高齢者の医療費が嵩む日本で、コラボレーションが進めばテクノロジーで対処できる問題もあるのでは、と話されていました。

 黄さんからは、「日本企業がまだ自国の文化に集中しており、グローバルな視点に立つ知識が不足しているのでは」という指摘がありました。Abdulazeezさんも、現地の顧客のニーズに合った製品を提供することも重要で、日本企業は改善できる余地がある、と言います。Sandeepさんも、「今はまだ自動車産業のサプライチェーンでも国内に焦点を合わせているように見えるが、今後グローバル企業が日本市場に参入しシェアを獲得するようになると、サプライヤーはグローバル市場でビジネスを展開していかねばならない」という指摘がなされました。

 品質とコストのバランスはどの企業も悩むポイントですが、黄さんより「日本企業は独自の基準を持ち世界的に高品質な製品を提供しているが、DXでリスクをコントロールし、シンプルな製品を提供することでコストを下げ、競争力を高められるのではないか」というコメントもありました。


おわりに

 今回のトークセッションでは、日本企業の強み、将来性、そして改善点について、率直な意見を伺うことができました。特に、外国籍の社員・学生の皆さんだからこその視点から見た日本を知ることで、日本企業や日本市場について改めて考える貴重な機会となりました。

 少子高齢化が進む日本では、グローバル採用や海外展開など、国外に目を向けた施策の重要性が増していますが、私たち日本人はその意味や障壁、そして可能性をどこまで理解しているでしょうか。これからの日本社会において不可欠な「グローバルでのビジネス展開」で求められることは何なのか。それを考えるために、まずは「知る」ことが大切だと思います。

 このトークセッションが、新たな視点や考え方を知るきっかけとなり、何かしらの気づきや学びにつながる機会となれば幸いです。是非、詳細は動画でご覧ください。

司会者より

 今回のトークセッションは当社初の試みということもあり、実施する前は、どのようなお話が聞けるのかとてもワクワクすると同時に、日本企業に対してどのような批評があるのか、少し不安な気持ちもありました。

 実際のセッションでは、外国籍の社員・学生の皆さんならではの視点から見た日本企業や日本社会に対する率直な意見を伺うことができ、とても刺激的な時間となりました。日本企業の強みや将来性だけでなく、日本社会が取り組むべき課題についても考えを共有していただいているので、多くの方々にとっても、新たな視点や考え方を知る良い機会になると思います。

  今後も、多様な立場やバックグラウンドを持つ方たちへの取材や意見交換の場を設け、さまざまなアイディアや考えを発信していきます。ご期待ください。

(株式会社ブレーンセンター NA)

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