Perspectivesを運営する(株)ブレーンセンターと千葉大学環境ISO学生委員会は、2025年から、学生と企業(社会)との接点を創出・強化し、環境・社会課題の解決に取り組む次世代サステナビリティ人材の育成を目指す「サステナ×キャリア共育プロジェクト」に取り組んでいます。その一環として、学生が企業のサステナビリティの現場を訪ね、社会課題とビジネス、キャリアのつながりを学ぶ「サステナブルスタディ・ツアー(SST)」を実施しています。
2026年8月には22名の学生がサッポロビール株式会社を訪問しました。恵比寿の事業所を見学したあと、同社のサステナビリティの取り組みについて説明を受け、社員の方々との質疑応答や、「責任ある飲酒」をテーマにしたディスカッションを行いました。
本企画を通じて、企業と学生はそれぞれ何を感じ、何を得たのか。プログラム終了後、受け入れを担当したサッポロビールの久保田玲奈様と、参加した学生2名にお話を伺いました。
学生との対話から得た気づき――「自分事」として考えることの大切さ
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サッポロビール株式会社
経営企画部 サステナビリティオフィス
久保田 玲奈様
これまで、学生との接点は主に採用活動の場にとどまっており、経営方針やサステナビリティについて直接対話する機会はありませんでした。そのため実施前は、「就職活動に関する質問が中心になるのではないか」「企業のサステナビリティ活動や事業と、学生自身の生活との接点を見いだすのは難しいのではないか」と考えていました。
しかし実際には、多くの学生がサッポログループのサステナビリティに関する取り組みや業務に高い関心を示してくださり、率直な意見に触れる貴重な機会となりました。
特に印象的だったのは、企業の取り組みに対する意見にとどまらず、それらを「自分事」として捉え、自身の生活や経験と結び付けて考え、発言する学生が多かったことです。また、グローバルな視点から社会課題やサステナビリティを捉え、主体的に議論する姿勢も印象に残りました。
また、サステナビリティに関わる業務では、抽象的な表現や専門用語を用いる場面が少なくありません。社内では当たり前に使っている言葉であっても、社外の方や学生には、その意味や意図が十分に伝わらないことがあります。今回の対話を通じて、発信する側が分かりやすい言葉で率直に伝えることの大切さを改めて実感しました。
7月に発表しました新中期経営計画におけるマテリアリティにおいても、その背景や考え方を丁寧に伝えることで、受け手が自分事として捉えやすくなり、理解や共感につながると考えています。
加えて、課題や目的をあらかじめ共有することの大切さにも気づかされました。ワークショップの冒頭で、「何を目指すのか」「どのような状態を実現したいのか」というゴールを共有したことで、学生同士の目線が揃い、議論が深まりました。その結果、「飲食店のタッチパネルにアルコール度数を表示してはどうか」といった具体的な提案も生まれました。今回得た気づきを、今後の業務や情報発信に生かしていきたいと考えています。
学生の皆さんには、楽しみながら、充実した学生生活を過ごしていただきたいと思います。キャリアやサステナビリティについて考えるときには、課題やリスクだけでなく、その先にどのような可能性があり、自分はどのような役割を果たしたいのかにも目を向けてみてください。その姿勢が、共感し合える仲間との出会いや、新たな挑戦を前に進める力につながっていくと思います。
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学生参加者の声
企業のサステナビリティ活動と「つながる」ことで広がったキャリアへの考え方
千葉大学教育学部 2年
北原幹太さん
サッポロビールに対しては、ビールを作って販売する企業という印象を強く持っていました。また、サステナビリティと聞くと、太陽光発電の活用など環境に対しての取り組みばかりを思い浮かべていました。しかし今回参加して、適正飲酒の呼びかけやノンアルコール商品の開発、さらには商品の容器リサイクルまで、サッポロビールには社会的・経済的な面も含め幅広いサステナビリティの取り組みがあることを知りました。特に印象に残ったのは「サステナビリティを特別なものにしない」という考え方です。サステナビリティの専門部署だけでなく、従業員一人ひとりが考えて全員で取り組まれているということに気づきました。
今回参加したSSTを一言で表すなら「つながり」だと思います。自然エネルギーの活用など特定の取り組みだけではなく、研究開発からお客様に商品が届くまで、あらゆる段階で一貫してサステナビリティを考えておられる点が印象的でした。また、社員の方のお話から、大学での学びが期せずして将来の仕事や社会課題解決につながることもある、ということを知りました。
私は現在教員を目指していますが、商品を通じて直接お客様に価値を届ける企業にも関心を持つようになり、将来のキャリアへの考え方が広がる機会となりました。また、企業を見る際は、自分がその企業でどんな仕事がしたいかだけではなく、その企業がどんな社会課題に向き合っているのか、その取り組みに自分が共感できるかも、大切な軸として考えていきたいと思います。
企業のサステナビリティ活動への意識が変化。
専門分野にとらわれすぎず、幅広く学んでいきたい
千葉大学薬学部 1年
朴英さん
これまで企業のサステナビリティと聞くと、ブランディングとして発信された、商品を売るための活動という印象がありました。しかし、実際にサッポロビールの皆さんの話を伺うと、会社の未来を考えて本当に必要性を感じ、主体的に取り組んでいることがわかりました。また、自分の業務だけでなく、業界全体に関わる知見を学びながら仕事に向き合う姿勢にも感銘を受けました。サプライチェーン全体でのサステナビリティを社員一人ひとりが意識し、そのための仕組みまで作られているということも新たな発見でした。
今回グループワークで、社員の方から直接フィードバックを受ける機会がありました。社員の方が学生から出たアイデアを膨らませ、議論の方向性を示してくださったことで新たな可能性が引き出されていく場面を目にしたり、友人がアイデアをうまく言語化している様子から気づきを得たことは、自身の成長につながりました。自分も考えて発信し、実践できるような人材になりたいと思います。
薬学系の仕事を志望している私は、薬学とサステナビリティは結びつかないものだと考えていました。しかし今回のプログラムを通じて、サステナビリティはどの業界にも関わるということを実感しました。今後は自分の専門分野にとどまらず、幅広く学び続けていきたいです。